幼なじみが俺で、俺が俺の妹で(8)
🕑 Added 2022-08-19 15:12:37 +0000 UTC
「うん、似合ってるよ」
入学式前日の晩、俺は中学の制服であるセーラー服を着て、瑠璃に披露した。
なお、本来こういうことをする相手であるはずの両親は……今夜はどちらも泊まりがけで仕事をこなした後、徹夜になりそうだが中学へ直行するという話。どうか死なないで欲しい。
「すごく可愛いよ、『光莉』」
もしお兄ちゃんに言われてたら単なるお世辞と判断しただろうけど、瑠璃ちゃんに言ってもらえてると思うと一気にうれしくなる。あたしって可愛いんだ……って、いかん、『光莉』の感覚に呑まれかけてた。
「そ、それにしても、俺、セーラー服を着ることになるなんて思わなかったな。それに二年後元に戻ったらもう中学は卒業してるから、学ランはもう着なくなりそうだな」
照れ隠しに言うと、瑠璃も少ししんみりした顔になる。
「そうだね。逆にわたしは卒業までは学生服で過ごすんだよね」
在校生の始業式は今日だった。瑠璃は俺より一足早く、異性の制服で学校生活を始めたことになる。
「まあ、わたしの場合は普通にしてたら引っ越しちゃったから、どの道、このセーラー服はもう着れなかったわけだけど」
少しうらやましそうな顔をして、瑠璃は俺のセーラー服を見つめている。
「ところで、学校はどうだった?」
ちょっと気まずくて、俺は今さらながら瑠璃に訊いた。
夜になるまでこの質問をしなかったことに、我ながら驚く。午前中は瑠璃に勉強を教わらなくていいという気持ちから惰眠をむさぼってしまったり、午後は光莉のお友達の清美ちゃんから電話があって長話したりと、一応理由はあるけれど……。
俺、この先二年間の『俺』の生活については関心が薄くなってるのかも。たぶん、元に戻れば瑠璃が過ごした分の記憶が得られるから、という意識ゆえだけど、それにしたってちょっとどうかと思ってしまった。
「ええと、敏明くんや潔くんとまた同じクラスになれて……」
でも、瑠璃から色々教わっても、やっぱり関心は持ちきれなかった。明日から清美ちゃんと同じクラスになれるかどうかの方が、よほど重大な気がしてしまう。
「ところで」
さっきの俺と同じように、瑠璃が切り出した。
「もう光莉ちゃんには確認を取ってあるんだけど……みっくんは『光莉』として入りたい部活とかある?」
「ん? 別にないぞ」
記憶の中の『光莉』自身、中学から送られてきたプリントを見て部活の種類の少なさに呆れてた。片田舎のうちの中学は部活に力なんて入れてなくて、どこにでもあるような部活しかないんだよな。まあ、強制入部ということもないのはありがたくて、俺も帰宅部だ。そして瑠璃もそうだった。
「漫研とかあったら読む側専門で入りたいけど」
「ふふ、光莉ちゃんもおんなじこと言ってた」
でも、どうして瑠璃がこんな話を始めたんだろう?
「今日、帰りに担任の先生に声を掛けられたの。文芸部が、一人しかいない部員が卒業しちゃったんで、入ってくれないかって」
「へえ」
「わたしも初耳だったんだけど、うちの中学出身の文学者が大昔にいたみたいで……新任の校長先生が、その作家さんのファンみたいなの」
「つまり、文芸部が潰れるのはよろしくないって?」
「そう。だから先生もとりあえず暇そうなみっくんに声を掛けたんじゃないかな」
「って、今は瑠璃がその『暇そうなみっくん』だろうが。何かこう、しゃきっとしてたら目をつけられずに済んだんじゃないか?」
「どうかなあ? 『藤浦さんが転校してなかったら一番に声を掛けてたんだけど』って言われたよ」
「む? それなら『俺』も第二候補としてしっかりしてそうに見えた? ……いや、そんな流れなら自分で自分のこと『暇そうな』とか表現するなよ」
俺が突っ込むと瑠璃が笑う。いかん、すっかりからかわれてる。
「まあ、言いたいことはわかった。『光彦』が入るのはもう確定で、『妹』の俺も文芸部に入らないかってことだな?」
「うん。ちょっと部室に行ってみたんだけど、歴史が長いからか本はたくさんあったよ。最近はライトノベルが多めで、少しは予算が出るから新刊も買えるみたい」
「でも文芸部ってことは自分で何か書いたりするんじゃないか?」
「活動内容は確認したけれど、文化祭でどんなに薄くてもいいから部誌を出すのが最低限のノルマみたい。他には一ヶ月か二ヶ月に一度、壁新聞みたいな感じでレポートを出すとか」
「うーん……」
「一人で部活するのもちょっと味気ないから、みっくんと一緒にできるとうれしいな」
瑠璃にそこまで言われると……それに、部活が同じなら学校で瑠璃といる機会が増えるから、互いにサポートしやすくなるか……。
「しょ、しょうがないな。大して役に立たないと思うぞ」
「ううん、ありがとうみっくん!」
瑠璃は、『俺』の顔だけど満面の笑みを浮かべる。照れくさくて、俺はそっぽを向いた。
*
「それにしても、相変わらずでかいな……」
今夜も風呂へ一緒に入り、俺は瑠璃のチンポに手を伸ばす。
「そ、そうかな?」
「うん。『光莉』の手の小ささを差し引いても、俺が射精してた時よりでかい気がする。なんでだろうな?」
「そ、それは……」
何やら瑠璃がしどろもどろになっている。
「いや、女子が男子よりチンポでかくしてるとか言われてうれしいわけないよな。悪い」
俺たちはすっかりおかしな関係になってしまったとは言え、今のはちょっとデリカシーが足りなかった。
「ま、成長期だから大きくもなるのかもな」
「そ、そうだよ、きっとそう」
瑠璃は若干声を裏返らせ気味に言う。
「ほら、みっくん早く済ませちゃって」
「あれ、今夜はさっさとするの?」
まあ、気分の問題もあるか。俺はチンポをしごいていく。
それにしても、本当におかしな関係だと思う。俺は瑠璃が好きなのに、今は女になってしまって、男になった瑠璃の性欲処理のためせっせと手コキをしてるのだから。
これが逆で、自分自身のチンポを女の子の瑠璃に手コキしてもらったら、俺も興奮で勃起がさぞすごいことになるだろうに。