幼なじみが俺で、俺が俺の妹で(6)
🕑 Added 2022-07-22 04:23:19 +0000 UTC
「みっくん、ほんとにお部屋交換しなくていいの?」
風呂を出た後、俺たちは眠ることにした。
「大丈夫だって。そんなことして、もし母さんや父さんに知られたらごまかすのが面倒すぎるだろ?」
瑠璃が、部屋を交換しようと言ってくれたが俺は断った。
そうすれば、俺はいつも通りの部屋で眠れる。でもそれは、それだけのことに過ぎなくて、やっぱり不自然だ。瑠璃が読める『俺』の記憶、俺が読める『光莉』の記憶のことも考えれば、身体に合わせた部屋で寝るのが結局一番いいだろう。
家全体の戸締まりを確認すると、俺たちはそれぞれの部屋へ向かう。
「……眠れない」
俺は光莉のベッドの中で、何度も寝返りを繰り返した。
寝ようとすると、普段なら気にならないことが今夜はなぜか気にかかってしまう。外からたまに聞こえるバイクの音だったり、部屋の隅から時折聞こえる家鳴りの音だったり、あるいはこれまでと違う自分の身体の妙に柔らかな感触や、光莉のパジャマの男物とは微妙に違う滑らかさや匂いだったり。
つまりはちょっと過敏になっているだけなんだと思おうとしたけど、天井を見上げて小さい常夜灯に照らされたその木目模様が人の顔っぽく見えた時、悲鳴を上げそうになった。いつもの俺ならそんな風に見えても何とも思いはしないのに。
おっかない。もう認めるしかなかった。
そう言えば光莉のやつ、かなり怖がりだったはず。夜中にトイレに行きたくなっても行けなくておねしょして、なんて話も昔はよくしていたし『光莉』の記憶としても思い出せる。なのに、それへの対処法が全然思い浮かばない。
あいつ、記憶を読めないようにしやがったな!
いや、当人にしてみれば恥ずかしいことを隠したかっただけなんだろう。俺はその辺鈍感なくらいだし、身体が入れ替わったくらいでいきなり怖がりになってしまうわけがないと考えた。それ自体はおかしくない。
でも身体の影響というものは絶大過ぎて。
俺は、一人きりの部屋で朝まで過ごす自信がすっかりなくなってしまった。
廊下に出る。常夜灯のうっすらした灯りがあちこちに陰影を作っていて、そんなものすら怖い。
恐怖に耐えて、俺は廊下を急ぎ、隣の部屋に飛び込んだ。
本来の『俺』の部屋は真っ暗だ。記憶を頼りにベッドに辿り着くと布団をめくりあげて潜り込む。
「お兄ちゃん……」
瑠璃と呼ぶつもりだったのに、身体の感覚に引っ張られたのか、俺はそんな言葉を口にしてしまった。
「ど、どうした光莉……じゃない、どうしたのみっくん!?」
起き抜けは身体の意識が強いのか、俺の言葉が問題だったのか、瑠璃もまるで『俺』のような受け答えだった。
「こ、こわいから……一緒に寝て」
「あ」
俺の言葉に、瑠璃は納得したように一音だけ口にする。
そしてすぐ、俺の身体を優しく抱きしめてくれた。
「いいよ、おいで」
柔らかくも力強い言葉が、俺を包む。
「ありがと……」
心ゆるむような安堵感にくるまれて、俺は眠りに就くことができた。
*
「え、ええっ、何これ?!」
お兄ちゃんのうろたえた声で目が覚めた。
お兄ちゃんってば何を女の子みたいな悲鳴を上げているんだろう……って、今のお兄ちゃんは瑠璃ちゃんだっけ……って、俺がほんとはそのお兄ちゃんだよ!
俺も目を覚ますが、誰かの胸の中に収まっている。そうか、昨夜は俺になった瑠璃と一緒に寝たんだっけ。
温かくて、すごく落ち着く感触。……と最初は思っていたんだけれど。
股間の方、何かが俺に少し当たってる。硬くて大きくて、パジャマ越しにも熱さすら感じ取れる。
こ、これはいやだ。何が楽しくて寝起きに勃起したチンポを押しつけられねばならんのだ。
と同時に、瑠璃が狼狽している理由も把握した。昨日から、瑠璃って男子的なトラブルに見舞われてばかりだな。大部分は俺のせいだけど。
「昨夜抜いたばかりなのに、またずいぶんでかくなってるなあ」
俺は敢えて、何もかもお見通しとばかりの口調で言ってやった。
「み、みっくん……これ、何?」
「朝勃ちだな」
「アサダチ……?」
「男は朝、目を覚ますとそうなってることが多いんだ。しばらくじっとしてれば萎んでいくから安心しな」
「そ、そうなんだ。よかった……」
「じゃあ俺、顔洗ってくるからな」
少し名残り惜しいが、俺は瑠璃の胸の中から抜け出した。
なのに。
「なんでまだそんなギンギンなんだよ……」
「わ、わかんないよぉ……」
戻ってきても、瑠璃の股間には立派なテントが生えたまま。わかった風に説明した俺の面目丸潰れ。
これって、もうただの朝勃ちとは違うよな? 瑠璃自身がまだ経験の少ない勃起という感覚に興奮して、勃起を持続させている? なら、毎朝のこととしてすっかり慣れるまではしばらくこんな感じ?
考えるのは後回しか。とにかく硬くなったままのチンポをどうにかしないといけないよな。
となると、やることは一つしかなくて。
「じゃあ、抜くぞ」
俺はベッドに上がると瑠璃の背後に回り、パジャマのズボンをずり下ろした。
「え……お風呂行かなくてもいいの?」
「別にどこでやってもいいんだよ。ほらティッシュ何枚か取って、出そうになったら自分で先に当てて」
「は、はあい。……ぁん」
硬くなったチンポを握ると、瑠璃が小さく嬌声を上げた。
「みっくんの精液ってこんな臭いなんだ……」
「まあな」
瑠璃はティッシュに鼻を近づけて、自分が出したばかりの精液の臭いを嗅いでいる。俺も最初の頃はやっていたっけ。
「あの、精液ってたぶん、どいつのもそんなのだからな。別に俺のだけが生臭いわけじゃないはずだぞ」
なぜだか言い訳めいたことを言ってしまう。瑠璃に、俺の精液だけが変な臭いだと思われたくはなかった。
「あ、そっか。イカ臭いって男子が言ってるの学校で小耳に挟んだ気がする」
「……男子ってほんと、猿だな……」
瑠璃にまで聞こえるようにそんな話するんじゃないよ。
「で、やり方はもうわかったよな? これからは、自分で抜いてくれよ」
「えー……?」
瑠璃に不本意そうな顔をされて、俺は自分が何かおかしなことを言ったのか疑いかけてしまった。いや、何もおかしくないよな。
「あの……射精って、思ってたよりずっと気持ちいいの。みっくんがやってくれたからかもしれないけど」
「お、おう?」
「これ、わたし一人でいつでもどこでもやるってことになったら、わたし癖になっちゃいそうで……」
んなバカな、と一笑に付そうとして、少しだけためらってしまう。オナニーを覚えてからいくらか(あるいは下手するとそれ以上に)人が変わったようになってしまった男子は覚えがある。俺自身も、いくらかその気はある。
「だから、いつもみっくんにやってもらうようにすれば、やり過ぎちゃう恐れはなくなるかなって思うんだけど」
「それは、まあ、そうかもだけど……」
こうして押し流されるように、俺は二年後まで瑠璃の射精を担当することになった。